化粧品の防腐剤として使用されるパラベンや、衣類の防虫などに使用されるパラジクロロベンゼン、食品や化粧品に使用されるパラベンの代謝物とみられるパラヒドロキシ安息香酸が、血液から高い濃度で検出されたことがわかった。
人の血液中から衣類の防虫剤や防臭剤に使われている化学物質のパラジクロロベンゼンがかなり高い濃度で検出される事が二日、厚生省の「内分泌撹乱化学物質(環境ホルモン)の胎児、成人等の曝露に関する調査研究班」(主任研究者中澤裕之・星薬科大学教授)の調査でわかった。化粧品や食品など幅広く使われている保存料パラベンの代謝物とみられるパラヒドロキシ安息香酸も検出された。いずれも血液中に高濃度で含まれる事がわかったのは初めて。
いずれの物質も環境庁から環境ホルモンに指定されていないがとくにパラベンは内分泌撹乱が疑われており、中澤主任研究者は「疫病や体の異常などとの関係を今後調べる必要があるのではないか」と話している。
パラジクロロベンゼンは室内の空気から体内に取り込まれているとみられる。パラベンはシャンプーや化粧品の他しょうゆなどの保存料にも添加されている保存料。
研究班は血液を分析している中でパラジクロロベンゼンとパラヒドロキシ安息香酸の濃度が環境ホルモンの十倍から百倍と高い事に気付いた。パラジクロロベンゼンは調査した60人の大人の血液全てから検出され、平均14ppb。最も高い人は200ppbを超えた。またパラヒドロキシ安息香酸もほとんどの人から検出され、濃度は18~72ppbだった。
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朝日新聞 平成11年8月3日